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というのがある。
もっと「燃える人」がふえて欲しいし、そのために「愚かさ」をもっと大事にしたいものである。

 

次の夢

塩見 一釜
「楽しいですね」「いいですね」「一般の人が買ってくれるんだから本物だよ」
これは、私の川柳仲間の言葉である。
平成八年九月、長年の夢、『気がつけば川柳―男と女の人生模様』を、北海道教育社から出版した。これが北海道を中心の書店で、今売り切れ続出である。
私の住む北海道だけでなく、青森も東京の方も、関西も九州の方、はるかアメリカもブラジルの方の川柳も、はたまた江戸川柳も、そして故人の名句も載せた句集を作ってみたい、と考えていた。
生まれ落ちてから死亡するまでの人間模様〈男、女〉を左右両頁に配し、それぞれにふさわしいカットを添える―
その夢が実現した。そして、それが、お陰様、好評だった。
この五年間に、多くの句集・川柳誌から、《誕生・幼稚園・反抗期・ハネムーン・不倫・栄転・酒・戦の日・還暦・ボランティア・スポーツ・老人クラブ・亡き妻よ・葬儀》など、膨大な作品を収集した。その中から、一人一句ずつ、計二五九〇句を盛り込んだ。
ところが、膨大な名句を手許に余すことになった。
さあ、次は違う切り口から『続 気がつけば川柳』を作ってみたいな、という思いが、ふつふつと沸き上がってくる。その切り口―趣味(華道・能・三味線・歌謡曲など)と川柳・色彩(朱色・カーキ色・マリンブルーなど)と川柳。職業(警官・チンドン屋など)と川柳・犯罪(刑務所・こそ泥・花泥棒など)と川柳・食べ物(ハンバーグ・クリスマスケーキなど)と川柳・保険(生命保険・勧誘員・健康保険など)と川柳等々、夢は広がってゆく。
そして取り残されてしまった次のような名句の束…で、続編を績纏め上げてみたい。
札幌・越郷黙朗
雨だなと思い酔ってるなと思い
東京・川上三太郎
貧乏を子もうすうすは知っている

 

 

 

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